大人のチョコレート

しおりを挿む



「あ、あの…」

「違うの?」

「あげる、けど」


 どうしよう。

 なんて言えばうまくいくんだろう。

 頭はパニックだし、顔は熱いし、手はエビを拾わないとだし、もうわけがわからない。


「大丈夫。すごく美味しかったもの」

「うん…」


 そうじゃないんだ。

 母さんがアルと僕の関係を知っているかどうかが気になるんだ!

 でももしバレていないなら、下手になにか話すと墓穴を掘る可能性がある。

 そのせいでアルと一緒にいられなくなったら、僕どうしたらいいかわからない。

 冬なのに緊張で嫌な汗が出てきた。

 ここにアルがいたら、うまく切り抜けられるんだろうな。

 弁論は得意だって言ってたし。

 言い負かしたい時はお任せくださいって……かっこいいなぁ、アルは。

 ……いや、そうじゃなくて!

 とにかく、どうする僕!?


「アルくんはいい男よね」

「そう、だ…ね」


 相槌しか打てないんだけど…。

 琳…来てくれないかな。

 まだ念入りに髪のセットをしてるのかな。


「いい親友ができてよかったわね」


 親友…!?


「う、うん!そうなんだ!」


 バレてない!

 やっぱり母さんは母さんだ。

 不本意だったけど姉ちゃんにも紹介できたし、いずれは親にも紹介しようと思ってる。

 でもまだ勇気が出ないんだ。

 姉ちゃんも、まだその時期じゃないって言ってたし。

 アルのことは本当に好きだから、どうしても慎重になってしまうんだ。




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