大人のチョコレート ■しおりを挿む
今日は2月13日。
バレンタインデーは明日なんだけれど、明日は日曜日で会えないから僕は今日渡すつもりでいる。
ちなみに世間的には昨日がいわゆる“チョコを渡す日”だったのに、うちの学校はすごく静かだった。
バレンタイン禁止だから当然とはいえ、去年はみんなこっそり持ってきていたのに。
僕でさえ去年はクラスの女子から義理チョコをもらったのに、それがないからか寂しく感じた。
急に学校の取り締まりが厳しくなったんだろうか。
…まぁとにかく、アルがチョコを貰わなかったんだからそれはそれでいい!
だってアルはモテるからしかたないとわかっていても、嫉妬しないでいられる自信がなかったから。
昨日の琳みたいに大量に貰っているのを見たりしたら、拗ねてアルにあげるチョコをヤケ食いしていたかもしれない。
一昨日姉ちゃんに教わって作ったビスコッティは、アーモンドとチョコがたっぷり入った香ばしいクッキーみたいなお菓子。
たくさん焼いたんだけど、その中でもいい色で焼けたものを選別してラッピングした。
それ以外のは姉ちゃんはもちろん、琳や母さんたちにも食べてもらって既にお墨付き。
甘いものが大好きな姉ちゃんから苦手な父さんまで、みんな美味しいって言ってくれたんだ。
だから先月のお弁当よりは自信を持って渡せると思う。
ラッピングはかなり大変だったけど、本を見ながら一人でしたわりにはまぁまぁ上手くできたつもり!
僕はその包みを確かめて、ビーズクッションの下に隠してから部屋を出た。
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