チョコレート☆プレイ

しおりを挿む



「ヤバ…」


 聡は顔を赤くして口元を押さえて俯いた。

 失礼な奴や!

 今の時代、男かて料理ぐらいできんとあかんねやで!


「確かに俺は男やけど、おっさんのパティシエもおるやろ!気持ち悪がらんと、騙されたと思て一個食べてみ」

「ち、違う。そういう意味じゃ」


 聡は歩きながら俺があげた小さい箱を開けて、中身を一口食べた。

 …感想が気になる。

 正太郎も朋ちゃんも、おっちゃんもおばちゃんも美味しいて言うてくれたけど、やっぱり気になる。

 陽平が美味しいて思うんやったら、他の人がマズイて言うてもええんやけどな。

 陽平のために作ったんやから当たり前や。


「どうや?」


 内心ドキドキしながら訊いてみた。


「美味い」

「そうか!よかったぁ」


 五人も美味しいて言うてくれたら、もういけるやろ。

 これで明日、陽平が喜ぶんが決定や!


「…琳」

「ん、なんや?」


 ようわからんけど、聡は俺をまっすぐ見て手にある紙袋を差し出してきた。

 女の子にもろたチョコレートがようけ詰まった紙袋。


「琳にやるよ」

「なんで?」

「もう満足したから」

「は…?」


 聡はブラウニーが食べたかったんかな。

 俺があげた箱を閉じて、掲げて見せた。


「これだけで充分だ」

「そうなんや。ほな貰うわ」


 遠慮せんと受け取ったら、聡が嬉しそうに笑った。

 なんか悪い気もするけどラッキーやわ。




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