チョコレート☆プレイ ■しおりを挿む
◆ ◆ ◆
「琳、駅まで一緒に帰らね?」
「ええよ。って聡、いっぱいもろてるやん」
次の日、俺は予備校から帰ろうとしたとこを聡に捕まった。
その聡の手には、チョコレートの入った紙袋がある。
「琳もだろ?」
「そやな、貰えるとは思てへんかったわ」
そうやねん、俺も一応モテるねん。
紙袋があらな持って帰れんぐらいにもろたんやで。
でも陽平にあげることばっかり考えてたから、俺もバレンタインチョコ貰うって失念してたんやけど。
「ま、俺の数には劣るけどな」
「量より質やろ。聡は好きな子にだけ貰うより、好きやない子にようけ貰う方がええんか? まぁ好きな子がいてへんかったら意味ないけどな」
「好きな子がくれないタイプだったらどうするんだよ」
「あ…それはかわいそうやな。ほんなら俺からもあげるわ」
俺は哀れな聡に、一番世話になってる先生にあげるつもりやったやつを渡した。
陽平にあげるのに作ったケーキの余りやねん。
昨日、みんなで味見しても余ったやつ。
どうせ余ったんやったら先生にあげよかなと思ってん。
けどええねん、先生にはT大合格をプレゼントするから。
「えっ!琳、これは?」
「昨日作ったんや。味見はしたから食べられるで」
「これが琳の手作り…? もしかして、俺のために?」
「あ…うん。聡が貰われへんかったらかわいそうやから、用意しといたんや」
嘘も方便や!
ほんまは先生にあげるやつや、なんて無粋なことは黙っとくべきや。
←Series Top
|