チョコレート☆プレイ ■しおりを挿む
「琳はうまくいってる?」
「あとは焼くだけやねん。正太郎はラッピングしてたんやろ?」
「うん。ラッピングが一番難しかったよ」
そう言うて見せてくれた包みは、えらい可愛らしかった。
やっぱり正太郎も明後日渡すらしい。
今年のバレンタインデーは日曜日やから、会われへんもんな。
俺は焼き上がるまでの間、正太郎が作ったお菓子を食べながら過ごした。
ちょっと堅いクッキーみたいなやつで、カリカリしてておいしい。
「明日は陽平もアルも、ようけチョコレート貰うんかな?」
「うちの学校はバレンタイン禁止なんだけど、たぶんみんな持ってくる…」
「あー、禁止とかしたら逆効果やのに」
「そうだよね。去年、僕も義理チョコ貰ったもん」
陽平は何個貰うんやろ。
どうせ義理より本命の方が多いんやろな。
せやからって陽平をとられるわけやないんやけど、こないだの女みたいなんが渡すだけでムカつく。
「あ、焼けたみたいだよ」
オーブンがピーピーって音を鳴らして、朋ちゃんが中身を出してきた。
「ほんまや!美味しそうやな」
「冷めたら型抜きするなり、好きな形に切るなりすれば完成。それじゃ、私は自分のを作るから行くね」
朋ちゃんはリビングのテーブルにケーキと型を置いてってくれた。
冷めるまでの間はまた正太郎と喋って、型抜きは二人でやった。
抜いた後の切れ端つまみながら箱に入れて、本見ながらラッピングして…。
これで明後日、陽平にあげるだけやな。
喜んでくれたらええなぁ。
俺は赤いリボンを結んだ箱を撫でてから、勉強に取り掛かるために部屋に戻った。
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