チョコレート☆プレイ ■しおりを挿む
2月11日は祝日。
今から朋ちゃん先生による“お料理教室”の始まりや。
生徒は俺と正太郎の二人。
って言うても、正太郎は先に作り始めたからほぼ出来上がってる。
オーブンは一個しかなくて、順番に使わなあかんからや。
ちなみに俺はブラウニーっていうチョコレートケーキを作ることにした。
ほんまは買ってくる方が時間食わんしおいしいんちゃうかと思たんやけど、デパートの特設に行ったら戦場みたいやったから逃げて帰ってきたんや。
そういうわけで朋ちゃんに相談して、急遽作るお菓子を決めたっちゅーわけや。
受験生やって言うたかてちょっとお菓子作りするぐらいええやん?
そないにみっちり勉強しても、ええことあらへん。
バレンタインっていうイベントに乗る余裕ぐらいあらな、受かるもんも受からんって!
まぁ、試験は今月なんやけど…いける!
「じゃあ琳、まずはチョコレートを細かく刻んで」
正太郎に指示し終わった朋ちゃんが来て、材料の前でぼーっとしとった俺に第一の指令を下した。
チョコレートって、この“割れチョコ”て書いた分厚いやつやんな?
なんでこんなん刻まなあかんの?
硬くて包丁が刃こぼれしたりせんの?
…………まぁええか!
細かいこと気にしてたら進まへんわ。
俺はそのままかじりたくなるチョコレートの塊を取り出して、包丁でガリガリと刻み始めた。
なんかおもしろいな、これ。
二個目の塊に差し掛かったとこでやっと慣れてきたかも。
刻むっちゅーより、削るって感じやわ。
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