閑話*ある晴れた平日 街中編 ■しおりを挿む
◇恋愛イベント Side琳
寒いはずやのに、身体が熱い。
陽平がいきなり、あんなこと言うからあかんねん…。
そうなったら、俺が言わんわけにはいかへんやん?
…あかん!ぼーっとしてたら風邪引きそうや、はよお風呂入ろ。
俺は勉強道具を一ヶ所に纏めて、着替えを持って部屋を出た。
「あ、琳は今からお風呂?」
「朋ちゃん…!」
さっきの電話の最後の台詞、聞かれてへんよな!?
「お父さんが出てから30分は経ったから、早く入ってきたら?」
「うん」
「相変わらずラブラブだったね」
「は…っ?」
「バレンタインチョコの相談なら、いつでもどうぞー♪」
やっぱり聞かれてたんやんか!
いつもはもう寝てるくせに、今日に限って起きてるんやから恐ろしいわ。
大抵は普通に、おやすみって話しかしてへんもん。
なんか怪しいセンサーでも付いてるんとちゃうか…。
俺はさっさと服を脱いで、さっさと全身を洗った。
今日は髪の毛にワックス付けてへんから楽やったわ。
最後にぬくいお湯にゆったり浸かってたら、疲れがスッと抜けていく。
そういえば朋ちゃんがバレンタインって言うてたけど、男同士でもチョコレートあげてええんかな?
今まで貰うだけやったそのイベントで、俺があげる側になるやなんて…!
でも、バレンタインデーなんて恋愛イベントの筆頭やもんな。
男同士で付き合ってても、参加してええよな?
チョコレートってどないして作るんやろ。
単純な俺の脳内は、もうチョコレート一色や。
今までもろた中から美味しかったやつとかピックアップしたりして。
そういえば正太郎はどないするんやろ。
作るって言いだしそうやし、今度話題振ってみよかな。
この時の俺は、初めてのことにただ浮かれてた。
陽平に手作りのチョコレートあげるんやって。
-END-
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