閑話*ある晴れた平日 街中編

しおりを挿む



◇深夜のラブコール Side陽平


 家事の後シャワーを浴びて戻ると、時計はちょうど23時を示していた。

 時間までは、ノートパソコンを開いて仕事をしながら過ごす。

 だいたい深夜0時ぐらいが、琳におやすみの電話を掛ける時間。

 琳は放っておくと、朝まで勉強しているような子だから…。

 というのは建前で、寝る前に琳の声を聞きたいだけなんだけど。

 時間になったら一つ大きな伸びをして、パソコンと照明を落としてからベッドに入る。

 プライベート用の携帯電話を開いて、発信履歴から電話を掛けた。


『もしもし』

「こんばんは」

『こんばんは。もう仕事終わったん?』

「うん、もうベッドにいるよ」

『さよか…』


 やっぱり勉強中だったのか、向こうからカチカチとシャーペンを弄る音が聞こえる。

 恐らく今日の話で、更にやる気になったんだろう。


「琳も寝なさい」

『…うん』

「あんまり遅くまで勉強していると、風邪を引くから」

『せやけど…』

「琳に風邪を引かれたら、脱いでって命令ができなくなるから困るんだけど」

『っ…、なんやねんそれ!ほんまに陽平は変態やな』

「ふふっ…」


 琳が笑って、本を閉じる音がした。

 これで寝る前にすべきことは終わった。


『俺あの女にな、俺しか知らん陽平がおるんやって言いそうになった』

「俺が行くまで、相当イライラしてたね」

『うん…』

「まぁ、俺は琳の恥態にしか興味ないから」

『あー!アホやこいつ』

「冗談だよ。琳の全部が好き」

『わ、わかってるし…。ほな、俺もお風呂入って寝るわ』

「上がったらすぐに寝るんだよ」

『わかった』

「じゃあおやすみ」

『俺も…陽平の全部が好きや。ほな、おやすみっ!』


 捨て台詞の終わりと同時に電話が切れた。

 俺は携帯電話をサイドテーブルに置いて、すぐに目を閉じる。

 すると翌日の目覚めがいいんだ。

 俺は琳からの久しぶりの“好き”を反芻しながら、睡魔に身を委ねた。




- 9/10 -

[≪prev | next≫]



 ←Series Top





「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -