閑話*ある晴れた平日 高校編

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◇特製ランチ Side正太郎


 お昼休み、いつもの場所でお弁当を食べた僕たちは、今日も飽きずにくっついている。

 それにしても牧野さんは、朝から大変だったんだな。

 早弁にはサンドイッチが入っていたのに、お弁当の中身は和食だったんだ。

 どっちも牧野さんの手作りで、クオリティはプロ並み!

 まさに特製ランチ。

 牧野さんは秘書なのに、レストランや料理教室も開けそうだ。


「なにを考えているのですか?」


 アルが不安そうな顔で見つめてきた。


「牧野さんの特製ランチはすごいなって思ってたんだ」

「私にとっての特製ランチは、正太郎も含みます」


 アルは僕の唇を舐めてから、深く口付けてきた。

 もうここでエッチなことはしなくなったけど、キスだけは毎日しちゃうんだ。


「このデザートを食べないと、ランチは終了しません」

「もう…。あ、そうだ」

「どうしたのですか?」


 プールのことを思い出したんだ。

 僕はとにかく、泳ぐのに他人の…しかも男の裸なんか誰も見ないということをアルに主張してみた。


「それに、水の中じゃハッキリと見えないんだから」

「ですが…」

「僕、プールが楽しみなんだ!」


 結局そこだ。

 僕は唯一、プールの時期だけ体育が好きになるんだ。

 僕の楽しみを奪わないでほしい。


「では、プールに入っていない間は上着を着用してくださいますか?」


 めんどくさい…。

 そこまでして、僕の裸を他人に見せたくないなんて。

 別にごく普通の男の裸なのに。

 綺麗に筋肉が付いてて注目を浴びてしまう、とかならわかるけれど。

 でも、アルがせっかく譲歩してくれたんだから、と頷いておいた。

 体育の前は、本気でプール授業を廃止させそうな顔をしていたから。


「プールサイドウェアは、こちらで用意させますからね」

「うん…ありがとう」


 僕はアルにお礼のキスをしながら、まだまだ先のプール後の着替えの心配をしていた。




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