閑話*ある晴れた平日 高校編

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◇見るな! Sideアル


 先ほどの数学の時間は、理不尽極まりなかった。

 正太郎は確かにぼんやりしていたかもしれないが、私もそんな正太郎に見惚れてぼんやりしていた。

 つまり、私に解かせろというのは至極真っ当な意見だった。

 なのにあの教師は屁理屈をつらつらと…。

 …まぁ、終わったことをいつまでも考えている場合ではない。

 次は体育なのだから!


「正太郎、更衣室へ参りましょう」

「うん。今日は持久走だね!やだな」


 正太郎が溜め息を吐いた。

 無理もない。

 5000mなど、私でも多少辛いのに。


「私が正太郎を抱いて走れるのなら、そうしたいのですが…」

「…でも、記録がないとどうせ居残りになるから。がんばる」

「正太郎は、がんばり屋さんですね」


 私は正太郎の小さな頭を撫でて、教室の外へ促した。

 実は私の体育の授業における鬼門は、この着替えの時間なのだ。

 更衣室にたどり着くと、まず正太郎を一番隅へと誘導する。

 そして、正太郎が一番下のシャツを脱いだ瞬間!

 私はジャージで正太郎をガードしつつ、ひたすら周りに睨みを効かせる。

 私の正太郎の着替えを覗くなど、万死に値するからな。


「アル!今でそんなんじゃ、プールの季節になったらどうするの」

「プール…ですか?」


 そうだ、この学校にはそんな不埒な授業があったのだった。

 昨年、陽平と見学したではないか。

 なんということだ…いっそ私の権限でプールでの授業を廃止に…。


「プール授業無くしたら、怒るからね」

「くっ…」


 正太郎に考えを言い当てられて、私は言葉に詰まった。

 確かに夏場のプールは気持ちがいい。

 だが、正太郎の滑らかで綺麗な肌が他の男に見られてしまう!

 愛しいピンク色の乳首も…。

 あーっ!!ダメだダメだ!

 許せない!


「僕は男なんだから、裸くらい見られても気にしないでよ」

「性別など関係ありません。正太郎はこんなに愛らしいのですから」

「はぁ…」


 正太郎は、自分がどれだけ魅力的なのかわかっていない。

 夏までになにか対策を練らなければ。




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