年末年始 Extra サプライズ ■しおりを挿む
琳がなにかを企んでいるようなので、騙されたフリをしてあげた。
そうしてやって来たホテルの寝室で、琳が嬉しそうに…少し顔を赤らめてネタばらしをしてくれた。
俺が思った以上にその内容が稚拙だったものだからそちらに思わず驚いたんだけど、琳はサプライズが成功したと思ったようだ。
喜ぶ琳はとても可愛くて、押し倒してキスで蕩けさせてから、全部脱げと命令してやりたくなった。
でも…手作りのクッキーだなんて可愛いサプライズを仕掛けてくれたから、すぐにでも襲いたいところをグッと我慢。
琳を少し突き飛ばせばメインディッシュが完成するというのに、我ながら紳士だとしみじみ思う。
「へへ…成功するとは思わんかったわ」
「俺もたまには騙されるよ」
「陽平も人間やもんな。ちょっと疲れてたんとちゃうか」
俺が琳を目の前にして、疲れを引きずるわけがないだろう。
せっかく襲いたい衝動を抑えたんだ、少し焦らしてみるのもいいかもしれない。
「そうだね。疲れているから、今日はもう寝ようかな」
「え…、あ、そう、やな」
途端に寂しそうな表情に変わった琳は、俺にそれを気取られないようにするつもりか力なく笑った。
なんでも顔に出るんだから、琳は本当に可愛い。
先にシャワーでも浴びて、もう暫くお預けにしようかな。
…あぁ、そうだ。意地悪はダメだったね。
今日はいっぱい愛してあげるって約束だった。
服も全部…琳の好きなパンツも、俺が脱がせてあげないと。
いつもの、恥ずかしそうに脱ぐ琳も捨てがたいけど、それはいつでも見られるし。
「琳」
「な、なに?」
その泣きそうな顔は、俺に触れてもらえないと思ってしまったから?
「琳を置いて眠ったりしないよ。可愛がってあげるから、こっちにおいで」
「うん…」
ゆっくり、躊躇いがちに進む歩みが焦れったい。
恥ずかしそうに俯く琳の腕を掴んで、強く引き寄せてしまいたい。
でも、俺は愛しい琳が自分からこの腕の中に来るまでの、なんとも言えないむず痒い気持ちに幸せを感じていた。
ごめんね、琳。
今日はもう、眠らせてあげられない。
-END-
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