年末年始 Extra サプライズ

しおりを挿む



「えっ…琳の、手作りクッキー?」

「一応味見したから、まずくはないと思うんやけど…」

「本当に琳が作ったんだ? 捏ねたり焼いたり」

「…うん」


 あかんかったかな?

 アルと違て、陽平は料理が上手いもんな。

 なんか自信がなくなってきて、俺は陽平が持ってる袋を引っ張ってみた。


「なにをするの?」

「持って帰る…」

「これは俺のだよ」

「か、返して」

「ダメ」

「う…」

「口移しでなら、一枚だけ返してあげる」


 陽平はそない言うて、一枚口にくわえて顔を近付けてきた。

 しつこいけど、ここは空港や!


「あっ、あかん…て。人が…」

「ふふ…そんな風に言いながら、キスしてほしそうだね」


 陽平が、くわえてたクッキーをサクサクと咀嚼しながら笑った。


「か、からかったんか!」

「ここに人目がなきゃ、今頃琳はキスどころか俺に犯されて、可愛く啼いているよ。
 ……美味しいね、このクッキー」

「な…」


 なんちゅー変態や…。

 変態は我慢を重ねたら、ハイパー変態になるんや。


「ん、もうバスが来るね。早く行こう。俺もこう見えて限界だからね」


 心配せんでも、変態にしか見えんわ!

 結局クッキーは、バスの中では口移しできひんって理由で、一枚も返してもらわれへんかった。

 でも美味しいって褒めてもらえたし、ええねん。

 ホテルの部屋に着いてネタばらしが終わったら、まず抱き締めてほしいな。

 俺は密かにそんな気持ちを込めて、隣に座る陽平にちょっとだけくっついた。


 -END-




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