年末年始 Extra サプライズ ■しおりを挿む
「陽平!」
「なに?」
「どこに行くつもりや」
「とりあえず家に。今日は泊ま…」
「あかんねん!」
危ない、計画通りに実行せなあかんのに。
「なにがいけないの?」
「あのな…じ、実は今朝、正太郎から電話掛かってきてん。今日は陽平が帰ってくるから、四人で…ご飯食べよって」
子供騙しみたいなサプライズの計画やろ?
せやけど俺は、不服やけどアルが言うた通りにするしかないねん!
既に、ホテルの人も巻き込んでしもてるみたいやしな!
どうせアルのことやから、正太郎に会えるわーって、デレデレしながら考えたんやろ。
「…そう。なら、アルと正太郎がいるホテルへ行こうか」
あれ?
えらいあっさりしてるやん。
長旅で疲れてるんかな?
まぁええわ、騙されてくれるんやったら、それに越したことはないからな。
「えっと、確かTホテルだったよね?」
「うん。電車で行き方わかるで」
「なるほどね。でもここからなら、ホテル行きのリムジンバスがあるんだ」
「そうなんや!」
すごいな、陽平はなんでも知ってるんや。
秘書選手権とかあったら優勝やで。
見た目も綺麗やし…。
ふと、そんな陽平の綺麗な唇に視線が吸い寄せられた。
相変わらず、冷たい唇なんかな…。
「なに? キスのおねだり?」
「…っな!」
ここは空港やで!
「ふふっ、琳はやっぱり可愛いね。キスは後でね」
陽平はいつもの調子で笑うと、俺の手首を掴んで歩き出した。
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