帰国した恋人との年始の過ごし方 ■しおりを挿む
「逆も終わったら、また右手で柄杓を持って左手に水を受けて、口を濯いでください」
水が冷たくて、本当に清められる気分だ。
アルの影響力はすごいらしく、近くにいた人たちもアルを見ながら真似をしている。
「最後に左手をもう一度清めて、柄杓を縦にして柄の部分を流してから、柄杓を元の位置に戻せば終了です」
「終わりましたっ」
次はいよいよ参拝だ。
アルの隣に僕、僕たちの後ろに知らない人たちというツアーのような風景に、巫女さんがびっくりした顔をしている。
ここからはよく知られる通り…とは言ってもあやふやなんだけど。
みんな無言で、ひたすらアルの真似をし続けた。
「…ふぅ」
「お疲れ様でした」
アルに頭を撫でられて、終了を意識する。
身体の変な場所に力が入っていたせいか、すごく疲れた。
アルの参拝ツアーに参加していた人たちも、なにかを成し遂げたような顔でお礼を言って帰っていった。
「アルはすごい。かっこいいな」
「ふふ…何でも覚えておくものですね。正太郎に見直していただけるなんて」
「僕はずっと、アルはかっこいいと思ってるよ!」
「琳よりも、ですか?」
「そんなの当たり前だよ…」
「嬉しいです」
アルといつまでも一緒にいられますようにってお願いしたんだけど、アルのヤキモチ焼きな所を少し和らげてくださいっていうのもお願いしておけばよかったかも。
その後、僕たちはおみくじを引いてから御守りを買ってプレゼントし合った。
おみくじ…アルは大吉だったけど、僕は吉なんていう中途半端な結果だった。
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