帰国した恋人との年始の過ごし方 ■しおりを挿む
琳に報告したかったけど、姉ちゃんに琳をからかいたいから黙ってろって言われて、逆らえなかったんだ…。
「まぁ、問題はないからええんや。協力してくれるみたいやし」
「よかった。姉ちゃんには謎の理解力があるよね」
「せやけど、たまに俺と正太郎の話に参加させろって言われたんや」
「えっ…」
僕たちのあんな話を聞いて、果たして姉ちゃんは楽しめるんだろうか。
ううん、その前にあんな話を姉ちゃんにしろってこと!?
嫌だ、あんなこと聞かれるの!
「まぁ、その時は普通の内容にしたらええねん。どこ遊びに行ったとか」
「そっか!」
24日にしたプレゼントの話みたいな話題にすればいいんだ。
だったら、聞かれても恥ずかしくない。
「ではそろそろ出ましょうか。琳は成田へ向かわなくてはなりませんからね」
ファミレスのお会計は、押し問答の末に僕がした。
琳に、アルへのお返しのアイディアを出してもらったお礼もしたかったし。
それからまたタクシーに乗った僕たちは、琳を乗換駅まで送った。
これから久しぶりに牧野さんに会えるからか、タクシーを降りていった琳はキラキラしていた。
たぶん琳も、牧野さんに会う直前は緊張するんだろうな。
「次の場所へお願いします」
アルが運転手さんに指示を出して、また車が動き出した。
僕は、琳が座っていたスペースが空いたから移動しようとした。
…けど、アルに腰を抱かれて阻止されてしまった。
「アル…っ」
「何故離れるのですか?」
「だって、広くなったから」
「ダメです」
普通のタクシーだから恥ずかしいのに、アルは僕を解放してくれない。
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