帰国した恋人との年始の過ごし方

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 デザートにパフェを食べても、あのビーフカレーより安いんだから。


「正太郎、おいしいですか?」

「うん。アルも食べる?」

「はい、いただきます」


 アルにパフェを差し出すと、琳がアイスを食べながら口を開いた。


「わざわざ俺を呼んだくせに、えらいアバウトな作戦やったな。ほんまに大丈夫なん?」

「あの陽平を完全に騙せると思いますか?」

「まぁそれは…」

「要は部屋に入れてしまえばいいのです」


 琳が不安そうに溜め息を吐いた。


「大丈夫だよ、きっと」


 アルまで暗くなりかけたから、僕は努めて明るく言った。

 根拠はないんだけれど。

 もしバレても牧野さんは優しいから、きっと気付かないフリをしてくれると思う。

 それに悪いことで騙すわけじゃないし、怖がらなくてもいいよね。


「まぁ、やるしかないわな。…で、お礼にはならんけど、後で二人でこれ食べて」


 琳は鞄から可愛い柄のビニール袋を出して、僕に手渡してきた。

 うっすらと見える中身は、手作りのお菓子みたいだ。


「クッキー?」

「昨日朋ちゃんに手伝うてもろて、一生懸命作ったんや」

「あぁ…電話をした時ですね」


 アルが僕の頭上20cmで携帯を耳にあててるのに聞こえてきた、あのうるさかった声?


「そうやねん。ほんで実はな…陽平とのこと、朋ちゃんにバレててん」

「お義姉様に!?」


 実は僕は、琳が牧野さんと付き合ってるって姉ちゃんにバレてることを知ってた。

 姉ちゃんが僕と琳のそっち系の会話のことを“BT”って名付けてくれた時に知った。




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