帰国した恋人との年始の過ごし方

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「…? どうしたのですか?」

「な、なんもない…!アルはイケメンやなーって言うてたんや」

「はあ…そうですか」


 腑に落ちないといった表情のアルをごまかすように、僕はその腕を引っ張った。


「アルはフロントでなにをしてたの?」

「そのことを含めて、食事をしながら話しましょう。どのお店がいいですか?」

「ご飯やったら、ファミレスに行こか」


 さすがマイペースな琳だ。

 当然ホテル内のレストランから選ぶのだと思っていたアルは、驚いて瞠目している。

 僕も昨日の高いカレーライスが落ち着かなかったから、ファミレスで賛成。

 だってあのビーフカレー、3,675円もしたんだよ?

 確かにすごくおいしかったけど、母さんのカレーライスみたいに気兼ねなくがっつり行けないからダメだ。


「ファミリーレストランなどで、よろしいのですか?」

「ファミレス舐めとったらあかんで!わりと美味いんやからな。とにかく、高級店は落ち着かんから却下や」

「琳…かっこいい!」

「正太郎!?」

「やっと俺の良さに気付いたんか」


 僕は大きく頷いた。

 こんなにキッパリと言いたいことを言えるなんて、すごくかっこいいと思う。

 僕もアルに流されてばっかりじゃなく、たまには庶民的なご飯を提案しよう。

 少し落ち込むアルをなんとか慰めて、僕たちはさっそくタクシーでファミレスに向かった。


「今日の俺はハンバーグやな」

「僕も!」


 やっぱりファミレスのハンバーグは、安くて美味しくて遠慮なく食べられていい感じだった。




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