帰国した恋人との年始の過ごし方

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「お腹すいた…」

「もう遅いので、ルームサービスを手配しましょう」


 正太郎を抱き上げてベッドを降り、部屋を移動する。

 メニューを手渡すと、それを捲った正太郎が溜め息を吐いた。

 ディナーの時間は過ぎているから、メニューはあまり豊富ではない。

 正太郎の好きなものがなかったのだろうか…。

 正太郎のためならば、メニューになくても用意させるつもりだが。


「高い…」

「どうしたのですか?」

「カレーライス…っていうか、ビーフカレーの値段が高いよ。そういえば、この部屋もすごく高そうだ」

「……そんなこと、ありません」


 値段は把握していないが、一番いい部屋を押さえたのでそれなりにかかるだろう。

 しかし、正太郎との甘いひとときに値段は付けられない。

 つまりこの部屋に宿泊するために支払うお金など、正太郎と過ごす時間からすれば価値がないも同然だと…。


「むー…」

「それよりも、食事を頼みましょう。正太郎は、ビーフカレーでよろしいのですか?」

「えっ!う、うん」

「他にも欲しいものがあったら、いくらでも用意させますから。メニューになくても大丈夫です」


 私は正太郎からメニューを受け取ると、受話器を取ってフロントを呼び出した。

 ビーフカレーとサンドイッチ、あとは適当にサラダや飲み物、フルーツの盛り合わせを手配する。


「アル」

「どうしたのですか?」

「あの…」


 正太郎は、私の膝に手を置いて恥ずかしそうに見上げてきた。

 これは、私の好きに解釈していいのだろうか。

 少々戸惑いながら、正解であることを願って正太郎を膝に乗せる。

 すると正太郎は、はにかんでキスをしてくれた。

 正解だったようだ!




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