帰国した恋人との年始の過ごし方 ■しおりを挿む
◇Side 正太郎
ホテルの部屋に入ったらすぐ、コートを脱がされて抱き締められた。
ちょっと苦しいけれど、アルの気持ちがいっぱい伝わってくる。
「正太郎…離れている間、恋しくて恋しくて狂ってしまいそうでした」
「僕も、すごく寂しかった」
会えるけど会わないのと、会いたいのに会えないのとでは全然違うんだね。
「愛しています」
「っんぅ、アル、ん、んん」
短いキスが何度も降ってくる。
僕も言いたいのに、そんな隙がまったくない。
脚の力が抜けて立っていられなくなった僕は、アルの背中に腕を回してしがみついた。
それでもずり下がっていく身体はアルの腕の力で支えられて、僕は脱力したままキスの雨を受け止め続けた。
キスが止んだと思ったら、今度は軽々と抱き上げられて寝室に運ばれた。
広い部屋はとても綺麗なのに、見る暇は貰えないかもしれない。
「アル、お風呂…入りたい」
「ダメです」
そんなにキッパリと却下しなくてもいいのに…。
ベッドに下ろされて服を脱がされながら、またキスをされる。
少し荒々しいところがアルらしくなくて、でもそれがすごく求められている証拠のように思えて、すごく興奮してきた。
飲み込みきれない唾液が、口の端から流れて行く。
なんだか、舌を食べられてしまいそうだ。
「…すみません。ずっと我慢していたので、止められそうにありません」
やっと解放された時、僕は息も絶え絶えだし素っ裸だし身体に力も入らないしで、ギリギリ頷くことしかできなかった。
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