帰国した恋人との年始の過ごし方

しおりを挿む



『さっきの、もしかしてアル!? ごめんやで!後で登録しとくわ!』

「はい…よろしくお願いします」


 何故、琳はこんなに元気なんだ!


『あっつ!朋ちゃん!ちょ、それそのまま冷ましといて!先に電話済ましてくるわ!』

「…………………」


 うるさい。

 もう、元気などでは済まされないな。

 痛む耳から携帯電話を離すと、正太郎の溜め息が聞こえた。


「琳はうるさいね…僕にまで聞こえるよ」


 呆れ顔の正太郎が、コートの中に手を忍ばせてきた。

 本当に可愛い…早く用件を伝えてしまいたいのに、琳は何をしているのか。


『ごめん!もうええで。なんや?』

「…明日のホテルのことです。私たちと同じホテルを押さえてあります。Tホテルですが、わかりますか?」

『あっ…うん、』

「明日の午前11時、ロビーに来ていただきたいんです。そこで昼食を摂りながら、詳しい計画をお話しします」

『わかった!ネットで調べたら行き方は大丈夫や』

「それでは明日、お待ちしています」


 琳もなにかと忙しそうだし、私も我慢の限界なので手短に通話を済ませた。

 どうせ、顔を見て話した方が伝わりやすいだろうしな。

 携帯電話を閉じて正太郎を抱き締めると、正太郎も腕に力を込めてくれた。


「アル…」

「どうしましたか?」

「初詣、明日にしてもいい?」


 …正太郎も同じことを考えていたなんて。

 今日は嬉しいことばかりだ!

 神にいくら感謝してもしたりない。


「私も今、それを提案しようと思っていました」


 私はすぐにタクシーを呼んだ。

 恥ずかしそうに俯く正太郎にキスをしたくなったが、我慢した。

 こんなところでして、止まらなくなっては困るからな。




- 15/36 -

[≪prev | next≫]



 ←Series Top





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -