帰国した恋人との年始の過ごし方

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 たぶんアルに包み込まれたことと、僕の体温が一気に上がったことが原因だ。

 でもその代わりにアルに対する緊張が増幅して、ドキンドキンと心臓がうるさい。

 お弁当の評価への緊張と、アルに対する緊張とで胸が苦しい。

「正太郎? 緊張…しているのですか?」

「…久しぶりだからかな。会う前から、すごく緊張してた」


 お弁当の味も心配だ、とは言えなかった。


「私もです。まるで転入した日の朝のように、正太郎と何を話そうかと考えました」


 転入した日と言えば、初対面での告白だ。

 ああなった経緯はもう聞いたけれど、アルを知るほどにあれはアルらしくない言動だと思った。


「あれは…本当に“変な外人”だったよね」

「決まらなかったので本能に従ったのです。正太郎と目を合わせたら、想いを伝えずにはいられませんでした」

「すごいインパクトだったから、成功?」

「あの愛の告白はスマートではありませんでしたね。ですが、正太郎が今この腕の中にいるので成功です」


 あの時のことを思い出して笑っていたら、緊張がほぐれてきた。

 僕からもアルに抱きついて大きく息を吸い込んだら、アルのいい匂いで満たされて甘えたくなってきた。

 でも今キスとかしたら、なんだかいろいろヤバいことになりそうだ。


「アル…お弁当、食べよっか」


 少し身体を離して顔を上げたら、アルは少し赤くなった顔で笑った。

 初詣は明日でもいい?

 …とか言ったら、アルはどう思うだろう。

 部屋で二人きりになりたいなんて言ったら、エッチな奴だと思われるかな。




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