帰国した恋人との年始の過ごし方 ■しおりを挿む
「何故、ダレンがこんな所にいるんだ」
「まだ母さんたちには話していないから、正太郎のことを大っぴらに話せないだろ?」
「…なんの用だ」
クリスマスの日、お祖母様に正太郎の写真を見せた時にたまたまダレンも傍にいた。
ダレンにも一応話だけはしていたし、口は堅い奴だから、と軽い気持ちで写真を見せたのだが…。
「俺、五月までに日本語をマスターしておくよ」
「わざわざマスターしなくとも、私が通訳をすると言っただろう!」
「嫌だよ。俺も正太郎と直接話したい。親密になるにはキスが一番だけどね」
「ダレン!」
「ジョークだよ。本気で怒らないでよ」
「笑えないジョークは言うな」
何故ダレンが、正太郎にそこまで興味を持つんだ。
正太郎はとても魅力的だから、わからなくもないが…。
いや、関係ない!
私の正太郎なのだから、誰にも渡さない。
「正太郎みたいな可愛い子がいるなら、俺も日本に行きたいな」
「来るのは勝手だが、正太郎に手を出そうなどとは思わないことだ」
「ほら、あの兄さんがこうなるんだから、正太郎に興味を持たないほうがおかしいよ。ねぇ、陽平」
「ふふっ…そうでございますね」
あの兄さん、とはどういう意味だ。
それに陽平も琳と付き合い始めてから変わったのだから、私のことを笑えないはずだ。
だがその陽平のおかげで、予定より二日も早く正太郎の元へ帰れる。
その事には心から感謝しているから、このような小さなことで文句は言えない。
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