帰国した恋人との年始の過ごし方

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「お弁当のおかずのレシピ探したら、わりと簡単やったで。よかったら、朋ちゃんにも協力してもろたらええし」

「えぇっ!姉ちゃんに?」


 姉ちゃんに借りを作るのか。

 迷うな…でも、お弁当を作ったら、アルは喜ぶかな?

 それより、琳と姉ちゃんの追い掛けっこは終わったのかな。


「私がどうかした?」

「姉ちゃんっ…」


 いきなり振り返らないでよ、心臓が止まっちゃうよ。


「朋ちゃんは、男が喜ぶお弁当のおかずとか詳しい?」

「当たり前でしょ。私を誰だと思ってるの? お弁当もお菓子も、なんでも任せてよ」

「さっすが朋美お姉様や!」


 ダメだ、琳が勝手に話を進めちゃったよ。

 二人だけで盛り上がっていくお弁当話を聞きながら、僕はアルを思い浮かべた。

 いつも牧野さんの美味しいご飯を食べてるアルだけど、僕なんかの手作り弁当で大丈夫なのかな?

 まだ作り慣れてるならいいけれど、初めてだし…。

 庶民の味だよ、なんてごまかし方はできない。


「正太郎!」

「ひゃっ」


 いきなり姉ちゃんに呼ばれて、僕は現実に引き戻された。


「メニューと調理指導は任せて。帰ったらすぐに三人で買い物に行くよ」

「う、うん…」

「そうと決まったら、ちょっと寝とこ!下ごしらえかてあるんやで」

「わかった…」


 こうして、僕がアルに手作りのお弁当を振る舞うことが、琳と姉ちゃんによって決定された。

 二人がやけにノリノリで怖い。

 調味料の分量を間違えなければたぶん大丈夫だけど、不安だな…。

 でも、アルが喜んでくれるかもしれないからがんばろう。

 まだ5分も経ってないのに熟睡している琳に呆れながら、僕もゆっくり目を閉じた。




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