帰国した恋人との年始の過ごし方

しおりを挿む



「今生の別れやあるまいし、いちいち泣くわけないやろ!」

「もう、愛想のない子やな!」

「おかんはすぐに電話してきよるからな!寂しいて思う暇なんかないんや」

「あ、そうや。向こう行ったら、たまにお味噌とかお醤油とか頼むから送ってな」

「はいはい」

「ほな、あんまりしょうちゃんらに世話掛けんようにな」


 琳とおばさんの会話は、結構おもしろい。

 去年のお正月にそれを琳に言ったら、笑いの沸点が低すぎるって怒られた。


「やっと帰りよったわ…俺らも行こか。おっちゃんが待ってるわ」

「うん。やっぱり、琳とおばさんの会話はおもしろいよ」

「それ絶対、大阪弁やからっていう補正が掛かってるんやわ」

「そうかなぁ」


 方言を抜きにしても、僕はおもしろいと思うけどな。

 お笑い番組を見てるみたいな感じなんだけど。

 あんまり言うと怒られるので、僕は思うだけに留めておいた。


「待たせてごめんな、おっちゃん」

「いいよ。どうせ渋滞に引っ掛かるから適当に寝ていなさい」


 僕たちが父さんの車に乗り込むと、すぐにエンジンが掛かって動き出した。

 しばらく走ったところで、琳がなにかを思い出したように僕に耳打ちしてきた。


「アルにお返しの話。俺、ええこと思い付いたんやけど」

「え、なになにっ?」

「アルは明日の昼前に日本に着くんやろ? ご飯ってなったらどうせ外食するんやろし、お弁当でも手作りしたったらどない?」


 お弁当!?

 僕は料理なんてしたことがないんだけど。

 学校には、母さんが作ってくれたお弁当を持っていくだけだし…。


「僕に作れるかな?」




- 2/36 -

[≪prev | next≫]



 ←Series Top





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -