僕の所有者宣言

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◆ ◆ ◆



 この学校はそこそこ成績のいい、そこそこ家計に余裕がある家庭の子供が通うような私立高校。

 僕がただ家から近いというだけで選んだそこは、男女がほぼ同数という環境でごく普通。

 都心まで電車で約一時間半のここは、決して山奥にある超お金持ちが集う全寮制男子校だったりなんかしない。

 だから、そういう…いわゆる同性で愛し合う人たちが世界中にいることは知っているけれど、僕はそれを目の当たりにする環境にはいない。はず。

 あの朝だって、転入生が来るって話題で持ちきりの教室で、耳の早いクラスの女子が性別は男だってデータを入手していたもんだから楽観視していたんだ。

 生粋の外国人だと聞いて勝手に美女を想像して浮かれていた友人の仲嶺拓真が、その子によって男だと知らされて落胆しているのを笑って見ていたぐらい。

 外国人なんてすごく緊張するだろうけど、女ならともかく男なんだし、仲良くなれたら英会話を習えたりして!とか考えてさ。

 なのに、女子の黄色い声を浴びながら流暢な日本語で自己紹介した彼は、担任の声を無視して自分の座席のある方向とは反対側にいる僕の方へ来てあんなことを言った。

 正直、意味がわからなかった。

 僕には初対面の男に愛の告白をされる謂われはない。

 無情にもそのことは瞬く間に学校中の話題となった。

 イケメン外国人転入生だけでなく、彼から告白された僕まで不躾に見られた。

 たまに登校中に会う、可愛いなと思ってた先輩まで見に来た。

 これには僕も思わず浮かれてしまった。


「あんなの、ちょっとナヨナヨした普通の男じゃない!」


 なんて、女性不信になりそうなお言葉を頂戴してしまったけど。

 ナヨナヨなんて酷くない?

 そりゃ少し運動は苦手だけど…でも病弱ではないし。

 …と、あの時はロクなことがなかった。これが先月の話。



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