傍にいない恋人との年末の過ごし方 ■しおりを挿む
◇side 琳
クリスマスイブの夜、俺と正太郎は当然、出掛けることはなかった。
朋ちゃんはデートやって言うて、えらい着飾って出掛けたけど。
おばちゃんが作ってくれたご馳走と、おっちゃんが買うてきてくれたケーキでパーティーしたら、それなりに楽しかった。
パーティーの後は、すぐに勉強する気にならんかったから、なんとなく正太郎の部屋に足を向けた。
なんとなくお互いに寂しいから、なんとなく喋ろうかなって空気になったんや。
「琳は、牧野さんにクリスマスプレゼント貰った?」
正太郎が、ぽつりと呟くように質問してきた。
「ネックレスもろたよ。陽平と会うときにしか付けへんけどな」
あのネックレストップはPt1000やから、かなりやらかいねん。
せやから、普段から付けてられへん。
気にしすぎって陽平にバカにされたけど、ただ高い物って認識だけやないんやで。
陽平がくれた物やから、特別やねん。
「お返しした?」
「まだやけど、今度お願い聞くんや。プレゼントでは対等なお返しはできんわ…」
「そうだよね…」
正太郎もお返しができてなくて悩んでるんかな。
陽平やから俺ができるなにかでお願いとかしてくれるけど、アルやったら困らされそうやな。
正太郎がいてくれるだけでいいんです!とか普通に言いそう。
「正太郎も、プレゼントもろたんやろ?」
「…うん」
正太郎は、携帯を出して見せてくれた。
「学校にアクセサリーを付けて行くのは、ダメだからって…」
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