傍にいない恋人との年末の過ごし方

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 もう微妙な年頃だからこういうことは嫌がるはずなのに、どうもこの子はブラコンのようで俺にべったりだ。


「お兄ちゃんは相変わらずかっこいいね」

「ふふ…ありがとう」


 玄関を開けて中に入ると、祖母がリビングで一心不乱に編み棒を動かしていた。


「おばあちゃん、ただいま」

「あら!陽平じゃないの」


 実花を下ろしてソファに座ると、母がキッチンから出てきた。


「おかえり、陽平。日本はどう? 恋人なんてできたりした?」

「ただいま母さん。本当に恋人ができたよ。鋭いね」

「…………………」


 …何故ここで沈黙するんだろう。

 普通、息子に恋人ができたら騒がしくなるんじゃないの?

 相手はどんな人だとか、どこで出会っただとか、いろいろ訊かれるのが普通じゃないの?

 そういうのは好きではないけれど、反応がないのも寂しい。


「っ…やだ!お兄ちゃんは、実花のなんだよ!?」

「俺は永遠に、実花のお兄ちゃんだよ」

「そういう話じゃないもん!」

「実花、我が儘を言わないで」

「…認めない!どこの馬の骨とも知れない女に、お兄ちゃんは渡さない!」

「はぁ……」


 半泣きで走り去る後ろ姿に、溜め息しか出ない。

 どこで覚えたんだ、あんな台詞。

 未だに大人二人は固まっているし、唯一反応してくれた実花は、ブラコン全開だし…。

 それよりも実花には、そろそろ兄離れしてもらわないと困る。

 いつか琳をここに連れてくる時にもあのままだったら、すごくうるさくなりそうだ。

 ま、琳はキスで塞ぐと言えば黙るけど。




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