傍にいない恋人との年末の過ごし方

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 すぐそこで抱き合って別れを惜しんでるバカップルだけでも、目立ちすぎてかなりヤバいのに。

 俺らまで男同士で…いや、男女でもイチャついたらあかんやろ!


「冗談だよ。これから俺は、琳を残して行ってしまうのに…」

「陽平…」


 やっぱり陽平かて寂しいんかな…。

 でも、いきなりしんみりするんは反則や。

 俺は正太郎みたいに、素直に寂しいって言うてられへんねんから。


「こんなところでキスをして…琳が他の男を惹き付けてしまっても、お仕置きができないじゃないか」

「はぁ!?」


 儚げな表情が一転、ニヤリと妖しい笑みに変わる陽平。


「さ、寂しいんとちゃうん…?」

「元々週に一度しかゆっくり会えてなかったのに、たかだか二週間で寂しくなるはずがないだろ」

「あ…」


 ほんまや、二回ほど会えんだけか。

 しかも俺は、受験の追い込み中の追い込みで忙しい時期。

 模試でA判定やからって浮かれてられへん季節や!


「それに、寂しがり屋の琳のための用意はあるから、安心してよ」

「なんの話や」

「それは後日のお楽しみ。…じゃあそろそろ時間だから、行くね」

「…わかった。いってらっしゃい」


 陽平は俺の髪をくしゃっとかき混ぜて、バカップルに近付いた。

 陽平が腕時計を見ながらなんか喋ったら、アルが抱き締めてた正太郎を解放した。


「正太郎…!私は、世界中のどこにいても、正太郎だけを愛しています!」

「うん。僕もだよ」


 逃れられへん運命に引き裂かれる、悲劇の二人とちゃうんやからさ…。




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