傍にいない恋人との年末の過ごし方

しおりを挿む



「せやけど、なんかお返ししたいんや…」

「じゃあ、電話した時になにかお願いしようかな?」


 陽平が嬉しそうに笑った。

 綺麗や…周りの人がチラチラ見てるもん。


「うん、それまでになんか考えといてよ」


 俺にできることやったら、なんでもやってあげよう。

 これでなんか楽になった。

 やっぱり貰いっぱなしはあかんからな。

 勉強ばっかりでバイトしてへんから、物では返せへんけど…。

 ていうか陽平はお金持ちやから、バイトしてても物では返さんほうがええか。


「…琳」


 陽平の指先が、俺の前髪に触れた。


「どないしたん?」


 前髪に触れてた指が横の髪を軽く浚って、陽平の顔が耳元に近付いた。


「好きだよ」

「………!」


 囁いた陽平は、耳のちょい下にキスして、離れてった。

 俺が反応して赤くなった耳を押さえた時には、陽平は元の位置でさっきより嬉しそうに笑ってた。


「ふふっ、琳は可愛いな」

「こ、こ、こんなとこで…!」

「ほら、あっちの男が可愛い琳を見てる。気を付けてもらわないと困るね」


 陽平の視線を追ったら、ちょっと離れたとこに若い男がいてる。

 確かにこっちの方向を見てるけど、厳密に言うたら何を見てるんかは判別できん。

 で、さっきから注目集めてんのは陽平とアルや。

 せやから、俺か陽平かって考えたら陽平やわ。


「あいつは陽平を見てるんやろ!お前は美人やからな!」

「うるさいよ。キスで塞がれたいの?」

「なっ!」




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