傍にいない恋人との年末の過ごし方 ■しおりを挿む
「せやけど、なんかお返ししたいんや…」
「じゃあ、電話した時になにかお願いしようかな?」
陽平が嬉しそうに笑った。
綺麗や…周りの人がチラチラ見てるもん。
「うん、それまでになんか考えといてよ」
俺にできることやったら、なんでもやってあげよう。
これでなんか楽になった。
やっぱり貰いっぱなしはあかんからな。
勉強ばっかりでバイトしてへんから、物では返せへんけど…。
ていうか陽平はお金持ちやから、バイトしてても物では返さんほうがええか。
「…琳」
陽平の指先が、俺の前髪に触れた。
「どないしたん?」
前髪に触れてた指が横の髪を軽く浚って、陽平の顔が耳元に近付いた。
「好きだよ」
「………!」
囁いた陽平は、耳のちょい下にキスして、離れてった。
俺が反応して赤くなった耳を押さえた時には、陽平は元の位置でさっきより嬉しそうに笑ってた。
「ふふっ、琳は可愛いな」
「こ、こ、こんなとこで…!」
「ほら、あっちの男が可愛い琳を見てる。気を付けてもらわないと困るね」
陽平の視線を追ったら、ちょっと離れたとこに若い男がいてる。
確かにこっちの方向を見てるけど、厳密に言うたら何を見てるんかは判別できん。
で、さっきから注目集めてんのは陽平とアルや。
せやから、俺か陽平かって考えたら陽平やわ。
「あいつは陽平を見てるんやろ!お前は美人やからな!」
「うるさいよ。キスで塞がれたいの?」
「なっ!」
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