Present for you. by陽平

しおりを挿む



 仕方ないから、先に他のことを済ませようかな。

 俺は琳のお腹を撫でるのを止めて、おもむろに腰を上げた。

 そして、琳の頭を撫でながら囁いてやる。


「少し待っててくれる?」


 すると、琳が何故か慌てた様子で俺の腕にしがみついてきた。


「えっ、どこ行くん……」

「この部屋からは出ないよ。いいから待ってて」


 安心させてやるために柔らかい唇に軽くキスをして、腕を放させてからベッドを下りる。

 実は、琳に用意したクリスマスプレゼントを渡そうと思うんだ。

 シンプルな、プラチナのクロスネックレス。

 手配したのが付き合い始めた日の夜だったから、既製品になってしまったのが悔やまれるところ。

 でも、どうしても何か贈りたかったんだよね。

 俺は、ベッドから数歩離れたクローゼットを開けて、奥から小さな紙袋を取り出した。

 一応中身の存在を確かめて、振り返る。

 ……と、琳が懸命に身体を起こして俺を見ていた。

 心なしか、不安そうな表情をしている気がする。

 さっきのキスじゃ、安心できなかった?


「どうしたの?」

「な、なんでもない……」


 ……もしかして、俺が思うよりも食べ過ぎたことを気にしているとか?


「ふふっ」


 馬鹿で騒がしくて……とても可愛い俺の琳。

 意外に繊細なところも好きだよ。

 俺は紙袋を背後に隠して、ゆっくりとベッドへ歩きだした。

 この包みを開けた琳は、俺にどんな笑顔を見せてくれるだろう。

 ああ、その前にキスをして『愛してる』って囁いてあげようか。


 -END-




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