プレゼント交換バトル

しおりを挿む



「ふふっ。おもしろいね」


 陽平がクスクス笑いながら、俺に一枚のカードを差し出してくる。

 そうや。全員リーチやったから、アルが優勝した時点で自動的に陽平が二位なんや!

 なんやねん……なんやねんこれ。


「牧野さんが二位だ! おめでとう!」

「ありがとう、正太郎。俺の二位はアルのおかげだけどね」

「あ。そしたら、もし琳が揃ったら僕が負けちゃうんだ」

「私と正太郎の順番を逆にすべきでしたね……。すみません」

「アル、皿を下げるよ。次の料理を持ってくるから」

「ああ頼む」


 三人が和気藹々と喋ってる中、俺は目を瞑って陽平から引いたカードに念を送ってた。

 これで揃わんかったら、えらいこっちゃやねん。

 頼む! ほんっまに、頼む!

 正太郎が最下位なんはかわいそうとか言うてられへんぐらい、俺がかわいそうなんや!

 俺は目蓋をブルブル震わせながら、ちょっとずつ隙間を開けて数字を確認────。


「うわっ……最悪や!」


 ……揃わんかった。

 俺は大きく肩を落として、ストローでジンジャーエールを吸い込んだ。

 生姜でピリッとしたキツめの炭酸が、喉に刺さるような刺激を与えてくる。

 ああ……世知辛いなぁ。


「正太郎、見てください! 琳はダメだったようです! チャンスです!」


 斜め前でアルが、陽平特製“エビとブロッコリーのタルタルサラダ”を取り分けながらはしゃぎだした。




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