プレゼント交換バトル ■しおりを挿む
「ふふっ。おもしろいね」
陽平がクスクス笑いながら、俺に一枚のカードを差し出してくる。
そうや。全員リーチやったから、アルが優勝した時点で自動的に陽平が二位なんや!
なんやねん……なんやねんこれ。
「牧野さんが二位だ! おめでとう!」
「ありがとう、正太郎。俺の二位はアルのおかげだけどね」
「あ。そしたら、もし琳が揃ったら僕が負けちゃうんだ」
「私と正太郎の順番を逆にすべきでしたね……。すみません」
「アル、皿を下げるよ。次の料理を持ってくるから」
「ああ頼む」
三人が和気藹々と喋ってる中、俺は目を瞑って陽平から引いたカードに念を送ってた。
これで揃わんかったら、えらいこっちゃやねん。
頼む! ほんっまに、頼む!
正太郎が最下位なんはかわいそうとか言うてられへんぐらい、俺がかわいそうなんや!
俺は目蓋をブルブル震わせながら、ちょっとずつ隙間を開けて数字を確認────。
「うわっ……最悪や!」
……揃わんかった。
俺は大きく肩を落として、ストローでジンジャーエールを吸い込んだ。
生姜でピリッとしたキツめの炭酸が、喉に刺さるような刺激を与えてくる。
ああ……世知辛いなぁ。
「正太郎、見てください! 琳はダメだったようです! チャンスです!」
斜め前でアルが、陽平特製“エビとブロッコリーのタルタルサラダ”を取り分けながらはしゃぎだした。
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