プレゼント交換バトル

しおりを挿む



「正太郎。ババ抜きやなくて、ジジ抜きにせん?」

「ジジ抜き……って、なに?」


 正太郎は俺の提案に、疑問を呟きながら小さく首を傾げた。

 相変わらず仕草が可愛らしい。

 ていうか、ジジ抜き知らんのは、しゃーないな。

 言わばババ抜きの亜種やから、俺かて中学の修学旅行でツレに教えてもらわな知らんかったやろし。


「ジジ抜きは、最初に数字のカードから一枚抜いて隠すんや。ほんならその数字だけ三枚になるから、余りがジョーカーの代わりになるやろ? しかもどれがそれかは最後までわからん。せやから、めちゃくちゃおもろいで」

「……すごい! じゃあ、もうポーカーフェイスをしなくていいんだ。よかったぁ、あれ結構疲れるんだよね!」

「えっ」


 正太郎って、ポーカーフェイスできるんか!?

 ていうか、もしかして別荘でババ抜きした時、やってるつもりやったんか?

 嬉しそうに小走りでリビングに入っていく正太郎の背中を見送って、俺は陽平を振り仰いだ。


「……正太郎は、可愛いな?」

「そうだね。でも、俺からすれば琳の方が可愛いよ」

「!」


 やたら綺麗な笑顔が近付いてくる。

 ほどなくして、二人っきりになった廊下にチュッていう音が小さく響いた。




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