BT! Extra −アルの願望− ■しおりを挿む
「なるほど…。では、もう安心ですね」
「もう、アルにしかキスしたくならない!」
「私も、正太郎にしかしたくありません。ではそろそろ、部屋に行きましょう」
アルはそう言って、抱きついたままだった僕を姫抱きにした。
慣れって怖いな、こうやって運ばれるのが当たり前みたいになってる。
そういえばアルの願望って、どんなことなんだろう。
もし変なことだったら…痛いのは嫌だ、怖いのも嫌。
どうしよう、初めてアルが怖く見える。
「正太郎、この中から好きなものを選んでください」
部屋に着いてベッドに下ろされた僕は、アルに紙袋を手渡された。
袋はわりと重くて、受け取った時にガラスがぶつかり合う音がした。
「なにこれ?」
袋の中身はワインみたいなコルクで栓をしてあるビンで、透明な液体が入っている。
「バブルバスです」
「バブル…泡…?」
「ええ、一緒に泡のお風呂に入りましょう」
「すごい!」
泡のお風呂なんて、家じゃ絶対に入れないよ。
姉ちゃんが一回やろうとしたけど、掃除が大変だからって母さんに却下されてたし。
「正太郎の好きな香りのものを選んでください」
アルはそう言って、わざわざ全部のコルクを抜いてくれた。
「どれもいい匂いだよ」
「正太郎が気に入ったら、また入りましょうね」
「うん。もしかして、これがアルの願望だったの?」
「あ…、入るだけ…では済まないのですが」
「え?」
「あの…」
アルが珍しく口ごもっている。
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