BT! Extra −アルの願望−

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「…おや、帰ってきましたね」


 牧野さんの声に視線を向けると、二人がまさにリビングのドアを開けるところだった。


「おかえりなさい」

「ただいま戻りました」


 アルは僕の頭を撫でて隣に座った。

 琳は食器を片付けに行った牧野さんに続いてキッチンに行った。


「なんで笑うんや。ペットボトルは重要アイテムやねんで!」


 キッチンから聞こえてきた琳の台詞の意味がわからない。


「琳はなんのことを言っているのですか?」

「琳はたまにおかしなことを言うから、あんまり深く考えちゃダメだよ」

「はい、わかりました」


 にっこりと笑うアルを見上げたら、胸がきゅんと鳴った。


「アルっ」

「どうしたのですか?」


 僕はなんとなくアルに抱きついた。


「ぎゅってして」

「ふふ、大丈夫ですよ」

「うん…」


 あー、わかってるんだろうな…僕が抱き締めてほしい理由。

 ずるいな、アルは。

 でも、僕も琳にキスしたくなったくせに、アルが少し仲良くしただけで妬くなんて悪い奴だ。


「…ごめんなさい」

「もうあんなこと、私以外には思わないでくださいね?」

「うん!あれはもっと可愛い琳が見たくなっただけだから、もう大丈夫」

「どういうことですか?」

「琳が今日牧野さんに会った瞬間に、わかったんだよ」


 付き合いだして初めての週末だもんね。

 琳は本当に嬉しそうだった。

 すごく可愛かった。

 可愛い琳は、牧野さんでないと引き出せないんだ。




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