俺らの交際宣言 ■しおりを挿む
スパーン!て俺の頭がええ音鳴らした。
受験生の頭はたくって、えらい酷いおかんやで。
「あんた、さっきの話聞いてへんかったんやろ! 来年からお父さんがドイツ行くんやで!」
「…あ?」
「もう、こんなアホな息子でお母さんどないしたらええんやろ。 勉強できたら偉いんとちゃうんやで!」
さっきの話…。
ドイツか、ドイツといえばドイツ3大Bやな。
音楽祭やな…あぁ、魅力的や。
実は俺、クラシック好きやねん。
ちなみに今ハマってるんはドヴォルザークの交響曲第八番やねんけど。
第四楽章もええけど、俺は第三楽章で痺れる。
「…ちゃうねん!」
「なんやのいきなり。ピーピー騒ぎな、近所迷惑や」
「おかんもドイツ行ったらええやん」
「え…?」
おかんはちょっとびっくりして、おとんに電話を掛けだした。
この家をどないするかが問題らしいけど、もう俺の心は関東や!
「琳、お母さんはええとしてもあんたはどないするんや? 今早とちりして家の心配したけど、あんた大学に受かってすらないやないの!」
「受かる!」
「独り暮らしするんか?」
「近々関東行くわ。正太郎の近所に住む」
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