俺らの交際宣言 ■しおりを挿む
◆ ◆ ◆
目覚ましがけたたましく鳴って、俺は飛び起きた。
久しぶりの嫌な感触に、俺はスウェットとボクサーパンツをいっぺんに捲った。
「…最悪や」
中坊ちゃうんやで、もう19歳やで?
そら彼女いてへんけど、定期的に処理してる。
久しぶりに夢に出てきた正太郎が、上目遣いでキスねだってきたからって…。
キスやで? 全然エッチなことあらへんやん!
「あー…どないしよ」
っても、洗って洗濯機に入れとくしかないんやけど。
俺は溜め息を吐いて、とりあえず下着を履き替えて汚れたパンツを握りしめて一階へ降りた。
時間は十時。浪人生やから…大目に見たって。
「うわ、おかんっ」
洗面所入ったらおかんと鉢合わせた。
慌ててパンツを背後に隠す。
「なんや、そない慌てて。お母さんの方が大変なんやで」
「なんのこっちゃ」
「さっきお父さんが、外国に転勤や言うて電話掛けてきたんや」
そら大変やな。
ごめんやけど、パンツの所在に困っててそれどころやないんや。
「琳、聞いてるんか? ドイツやて。 お母さんも行きたいけど、琳一人で置いて行かれへんやろ?」
「あーうん、せやな…」
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