僕の所有者宣言 ■しおりを挿む
アルには日本人の血筋もあるけど、それは婆さんだって確か言ってたし。
「理事長は父方の祖母の従兄です。跡取りがいないと聞いて、家が買い取りました。 ですから、彼はいわゆる雇われ理事長ですね。実は、あらゆる権限は私にあります」
「はあ…」
なんか話のスケールがでかすぎて付いていけない。
脳が考えるのを勝手にやめてしまった。
曖昧に頷いて、とにかくこの部屋を使って怒られることはないということだけは理解できた僕は、力を抜いて座り心地のいいソファに身を預けた。
僕の前に立っていたアルはその場に跪いて、ぼんやりとした僕に軽く口付けてきた。
何度目だよ、なんてズレた思考のまま、僕はそれを当たり前のように受け入れた。
「アルって、キスが好きなの?」
「キス自体は特に。ですが、正太郎の唇が甘くて、もっと欲しくなるんです。つまり、正太郎とのキスに限って、大好きです」
なにこいつ。
タラシてるつもりかな。
何度もキスしないでよ。
まだ会話の途中なんだから。
「甘いって…んむ、どう、いうこと?」
喋ってる最中なのに唇を食われた。
噛まれたんじゃないけど、唇で挟んでくる感じ。
なんでかな、すごく…ドキドキする。
「そのままですよ。何度でも味わいたくなるんです」
いつの間にかアルの身体は僕の膝の間にあった。
見た目の割にしっかり筋肉の付いた腕が僕の背中に回っている。
「ほら、今のそんな可愛らしい顔、私以外の人間には見せないでくださいね」
そんなこと言われたって、今の顔なんてわからない。
怖いから見たくもない。
「んっ、でも、教室でキスしてきたのは、ん、アルじゃん」
唇腫れるんじゃないかな、これ。
今までキスなんてしたことないからわかんないけどさ。
「あんなに色っぽくおねだりされたら、制御できなかったんです。すみません…」
色気出てたんだ、それはよかった…じゃなくて!
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