The Frog in the Well | ナノ


偽のほどを確かめる術はないが(だってそんなことしたら罰則どころか絶交されそうだ)、間違いなくこれは確かな筋の情報だ。
ばっちりメモをとっておかなければ、とジェームズ・ポッターは思った。

「なるほど……薄い、グリーンの、ネグリジェと」
「妹さんとお揃いなんだって」
「ほほう、妹がいるんだね。リリーの妹ということは、僕の妹でもあるわけだな」

一通り話が終わると、ナマエ・ミョウジの興味はもっぱらクッキーに移行した。ゆえにジェームズの戯言は見事なほどに流された。ここにシリウス・ブラックがいたなら、気持ちいいくらいのツッコミを入れてくれるのに!

「ナマエ。もうクッキーは缶ごとあげるから、僕の方見てくれる?」
「まあ、ジェームズってば。太っ腹ジェントルね」
「……今日のことは、僕は誰にも云わないと誓う。きみもだよ。もちろん、」
「リリーにも内緒って云うんでしょ。分かっていますって」

安心なさいな、とナマエがにっこり微笑んだ。ジェームズも思わず笑う。談話室じゅうの生徒からは、なんだあいつら気味悪い、という生温い視線が送られていた。

「何を二人で微笑み合っているのかしら?私も入れて下さる?」

とたんに、ジェームズの顔が分かりやすくもパッと輝いた。それはさながら、飼い主を目にした犬のようだとナマエは思った。

「あら、リリー。どこ行ってたの?」
「ちょっとフクロウ小屋にね。それよりジェームズ・ポッター、ナマエに何の用? 妙なことにでも巻き込むおつもり?」
「おお、ジェラスィーだ……ジェームズよかったね」
「心配しなくてもナマエは良き友人だよ、リリー。妬いてくれるのはうれしいけど……」
「だまって頂戴」

リリー・エヴァンズの誇る絶対零度の微笑である。恋は盲目と云うものだが、激怒していても百合の花がバックに見える自分は重傷だろうか、とジェームズは思った。

「警告したはずよ。そんなにすり潰されたいのかしら。あなたマゾ?」
「だれかー!ロマンティックとめてくださーい!!」
「しつこいわよナマエ」

ごく和やかなお茶会は、こうしてお開きになった。

12. Golden Whispering



 

3/3

×