The Frog in the Well | ナノ


っかり閉じた目を恐る恐る開けたら、忘れもしないあの光景が目の前に。デジャヴというやつだ。

「……そこで何をしている」
「うわ、やっぱりだ。やっぱりデジャヴだ」

苺のように真っ赤な廊下をバックに、不機嫌顔をしているスリザリン生。あのときと違うのは、自分の目線が今は普通の高さにあることと、満腹状態であることだとナマエ・ミョウジは思った。

「ごきげんようセブルス、さっきぶり。ごはん食べた?」
「またきみか」

そんなに嫌そうな顔をしなくても、と口を開きかけて、セブルス・スネイプが自分の背後を射殺せそうなほど睨んでいることにナマエは気がついた。

「下らない厄介ごとに、今度は自寮の生徒も巻き込むのか?救いようがないな」
「地下室で雑菌培養してるような奴に云われたくないね!おいナマエ、そいつと喋るなよ」
「僕からも忠告しよう。ミョウジ、きみもまともな神経の持ち主ならば、そいつらには近づくな。半径50フィート以内に入るな」
「じゃあここは間をとって、ナマエ、僕の隣に来る?」
「「メガネは黙ってろ」」

ジェームズ・ポッターは目元をハンカチで拭うわざとらしい仕草をして、「仲がおよろしいようで!」などと呟いた。ナマエはといえば、目の前で勃発してしまった争いをぼんやり眺めながら、あらためてどうして自分がここにいるのか不思議に思っていた。例の悪戯の件でジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックに謝罪させる(あわよくばアルゼンチンバックブリーカーで沈める)はずだったのだが、わけのわからぬ騒動に巻き込まれ、いつの間にか瞬間移動し、おまけに当人そっちのけで口論が始まっている。

もはやどうでもよくなってきた。ナマエは早く寮に帰りたかった。


 

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