うーわー…あーつーいー…。

家を出た瞬間にこれだよ…あーもう溶ける…。

ホント嫌になる…でも、ウォークマンが聴けないと死ねる。

しかも新しい歌入れたばかりなのに…。

今だって歌を欲している…あぁボカロが恋しいよ…。


「…ん?…あれ?モモ?」


それなりにいる人混みの中、友達の如月モモが歩いているのがみえた。

…おかしい。モモはああ見えてアイドル。しかも不思議なくらいに大人気な。

なのにこんな人混みの中で騒がれてないなんて…。


声、かけるべきかな。

いやでもなぁ…。


というか、モモの周りにいる人達って誰だろう。

皆パーカー着てるなぁ。一人目つき悪いし…あー、なんか怖い。

目が赤い女の子もいる…外国人かな?

やけにキョロキョロしてる人は何してるんだろ。なんか、周りを気にしてる?

…あ、目があっちゃった…とりあえず目を反らしとこ。


もう一度目をモモ達に戻すと、自転車を避けていたところだった。

…目が合った人、猫目だったなぁ。


なんかよく分かんないし、スルーで。




デパートにつくと黒い炭酸ジュースを飲む人がみえた。

赤いジャージ着て片方の耳にイヤホンしてて…あれ、もしかして…。


「…シンタローお兄さん?」

「んぉ?…あ、モモの友達の」

「やっぱりお兄さんだ」

「おー。つかこの人混みの中よく分かったな」

「昔から目はいいんです」


へー。とまたコーラを一口飲むお兄さん。

いやぁ、やっぱりモモの兄だけであって顔のつくりがいいなぁ。目の保養だ。


「…?な、なに?」


あ、やべ。みすぎた。引かれたかな。

引きこもっていただけあって見られるの苦手だろうからなー。


「いや、何聴いてるのかなって…私も聴いていいですか?」

「え゙、ちょっ待て…!」


了承を得る前に勝手にお兄さんのイヤホンを取って自分の耳に持っていく。

そこに流れていたのは…。


「ご主人!誰ですか!?お知り合いの方ですか!?私にも紹介してください!」


女の子の可愛いらしい声が…え?ごしゅじ…。


「…すいません、電話中でしたか」

「ちが、違うから!」

「いえ、大丈夫です。モモには内緒にしておきますから」

「それはありがたいけど全然大丈夫じゃねぇ!フミちゃん勘違いしてるから!」

「ホント大丈夫です。誰にも言いません。それでは、お邪魔しました」


イヤホンをお兄さんに返して、ちょうど来たエレベーターに乗り込む。

お兄さんがなにやら叫んでるが気にしない…。

…えっと、PC用品売場は…。


友達の兄はニジオタ
((とは前から知っていたけど、まさかご主人様と呼ばせてるなんて…))
((いや、他人の嗜好にとやかく言うつもりはないけどさ))


(うわー!絶対変な勘違いしてる!!)
(なんで紹介してくれなかったんですかご主人!)
(お前なんか紹介できるか!)




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