あの大変面倒臭い事件が起きたデパートから出て、さっそく私はモモ達から離れようとした。

が、それは出来なかった。


「…あれ?どこいくの?」

「…ゲッ…いや、その…」

「フミ?」


シンタローお兄さんを背負っていて疲れたらしいカノさんが、汗をたらしながら笑顔できいてきた。

カノさんに続きモモも私を見る。


「いや…私は関係ないですし?赤の他人ですし?だからそろそろおいとましようかなと…」

「フミ!」


思いまして、と続くはずの私の言葉はモモの怒った声に遮られた。


「フミが面倒臭がりなのは知ってる。でもここまで巻き込んじゃったからには色々と事情を説明したいの」

「いや…でも…」


モモに真剣な顔で詰め寄られて、こいつ面倒臭いなぁと思いながらも顔に出さないように努める。

…でもホントめんどくせえぇ…。


「私的にはこれ以上巻き込まれたくないんだけど…」

「まぁまぁ!」

「カノさん…?」


カノさんが私とモモの間に入る。というか、なんか、すごく辛そうだ。


「キサラギちゃんの友達というなら僕達にとってもただの赤の他人というわけにもいかないからね。とりあえず君にアジトには来てもらいたいかな。ね、キド、いいでしょ?」

「…あぁ」

「ほら!じゃあ決まり!ということで早く行こうか。僕もそろそろ辛いから」

「あぁ!すいません!バカ兄のせいで!」


カノさんに慌てて謝ったモモは、そのまま私の方を向いて手を掴んできた。


「…ね?フミお願い」

「…………………分かった」


「?」


終始頭にクエスチョンマークを浮かべていたマリーさんが少し羨ましいと思ってしまった。




暑い暑い猛暑の中をなんとか歩いて十数分。

薄暗い路地裏を抜けながらさらに細い通路を通り、その突き当たりにそれはあった。


「フミ!ここが私達のアジトだよ!」


キドさんとカノさんに続きマリーさんが、その…アジト?にドアから入る。

そのドアには『107』と書かれていた。


「…ずいぶん怪しげな所だね。ていうかアジトって何?なんかの組織?」

「うん!ここはメカクシ団っていう組織のアジトなんだけど…」

「はぁ?…モモ、あんた前から騙されやすいとは思ってたけど、そこまでいったか。目を覚ましな、そんな厨二集団に関わっちゃいけないよ」

「いや、フミ、あのね?話を聞いて欲しいんだけど…」


「キサラギちゃん達?入らないのー?」


モモがメカなんとか団とかいう痛々しい集団に毒されそうだと、危機を感じた時、中からカノさんの声が聞こえた。


「…まぁシンタローお兄さんも拉致られちゃったし入るしかないか…」

「…うん、とにかく中で色々と説明するから」


モモがドアを開けて中に入る。それに続いて私も中に入った。

嫌な予感を頭の隅で感じながら。


頭の靄を振り払う
((中に入ると、カノさんのにやけ顔がやけに目に付いた))




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