「えー。覚えてない?」

「えぇ、残念ながら」


へらへらと言う猫目男にはまったく緊張感がない。

なんだか側でくそ真面目な顔をしているお兄さんが可哀相だ。


「ボクは君のこと覚えてるんだけどなー」

「へー、それは光栄ですね。すぐに忘れてくれて結構ですよ」

「なぜならあの時目が合ったのは君だけだったからね」

「…は?」


なんだそれ意味わからん。

不審な目を向けるが、猫目男は営業スマイルが得意らしい。

対した効果にはならなかった。


「…てゆーかなんであなただけ縛られてないんですか」

「…え?」


今度は猫目がきょとんした顔で私を見る。

いや、なにその顔。


「………」


猫目男は少し目を閉じてから周りを見回す。

…あれ?なんか…目が赤かったような…?


「…君にはそうみえる?」

「えぇ、はい」

「………」


猫目男はきょとんとした顔で首を傾げた。

可愛い。可愛いんだけど…残念、私は犬派だ。


「おかしいな…能力は使ってるはずなんだけど…」

「?」


ブーッブーッ


「「!」」


…びっくりした。

猫目男と一緒に肩を揺らしたが、どうやら無精髭や怖ーい人達や人質の皆さんには聞こえてなかったみたいだ。


「…サイレントにしてくださいよ」

「いやーごめんごめん。忘れてたよ」


猫目男は自由な手で携帯を取り出し、確認をする。

いいなぁ…私も早く自由になりたい。


「…!へぇ」


メールを確認していた猫目男はシンタローお兄さんをちらっと見てにやっと笑った。

そしてまた記念撮影を始めた。


「…頭とち狂ってるんですか」

「ぇえ!?いきなり!?あ、もしかして君も入りたい?」


何故そうなった。


「違いますよ」

「そんな事言わずに。はい、チーズ!」

「なっ…!」


カシャリ


…撮られた。

決めた。腕が自由になったらこいつ殴る。


「おー、いい感じ。よし、これとこれを貼付けて…そーしん!」

「…は?」


撮られたと思ったらそのまま操作して送信…だと?


「ちょ!何送信してんですか!」

「大丈夫大丈夫。友達に送っただけだから」

「何も大丈夫じゃありません!訴えますよ!」

「え?それは困る」


あーこいつ意味わかんねぇ!もう無視しよう。

猫目男を無視すると決め込んで、周りを見る。


「……?」


モモ達がこそこそと移動しているのを発見した。

薄紫の長袖パーカーを来た目付きの悪い人が率先して動いているらしい。

モモは目付き悪い人について移動している。

そして、モモのすぐ後ろにいる白い髪の赤い目をした女の子がこっちを見た。

こっちというより私の側にいる猫目男に気付いたというべきか、猫目男はニヤニヤしながら女の子に向かって手を振っていた。

…ていうか何持ってるんだろ。電気アンマ?


作戦決行中?
((電気アンマなんか持って何するつもりだろ…?))




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