そうだ!シンタローにメールしてみよっと。

…えーと。


"起きてる?"


…うーわー…自分で言うのもなんだけど、色気ないメールだなぁ。

まぁシンタローだし…いいや。送信、と。


〜♪〜〜♪


お、早いな。さすがヒキニート。


"起きてる"


…うーわー…。

シンタローも負けず劣らず色気なしだ。まぁシンタローに色気なんかあったら引くけど。


"早く寝なよw"


人の事なんか言えないけどね。


"お前からメールしてきたんだろ"


まんまその通りです。私超失礼。


そのまま目を通せば(と言っても一行だけだけど)最後の文が目につく。


"どうかしたのか?"


…あぁ、なんか…ちょっと嬉しい、気がする。

…声、聞きたいなぁ。


"ちょっと寝れなくてね
電話してもいい?"


送信、と。

…なんか今更ながら恥ずかしくなってきた。ちょっと緊張する。


「……………」


遅い。メール遅いなぁ。


「…やっぱ駄目だったかな」


うー…このまま緊張しながら待つのもやだなぁ。

もう冗談だよってメール送ろうかな…。


〜〜♪〜♪♪


で、電話きた!

携帯のディスプレイに現れた"シンタロー"という文字。

…まさかあっちから来るとは。とりあえず出ないと。


「もしもし」

『うわ!で、出た!』

「…出ちゃ悪いか。すいませんねぇ、いま切りますよ」

『いや違う!違うって!その…エネが勝手にかけやがったから…』


…あー…なんだ。エネちゃんがかけたのか…。


「…期待して損した」

『え?何?聞こえなかった』

「別にー。なんでもありませんよーだ」

『あ?…まだ怒ってんのかよ。悪かったって』

「…もう怒ってないよ」


そう言えば、「本当か?本当にもう怒ってないのか?」なんて言う。

しつこいって一喝したら「お、おぅ悪い」って言ったきり黙り込んだ。

なんだこの男。


「………」

『………』

「………」

『………』


気まず!何この沈黙!

なんか話題…。


『…で、どうしたんだ?』

「え?何が?」

『いや、寝れないって…』

「あー…いや、別に…」

『なんだよ。歯切れ悪いな』


言えるわけない。怖いからって寝れないなんて…。


「今日さ、寝る前に怖いDVD観たんだよ」

『へぇ』

「メリーさんっていうやつなんだけど、マリーが凄い怖がっちゃって」

『メリーさんって子供向けの怪談話じゃん。さすがだな』

「やっぱそうなの?でも意外な事にキドまで怖がってたんだよ」

『え?キドさんが?怖いの一個もないって感じなのに…』

「でしょ?でもこの私が見間違うなんてないからね」

『そうだな。へぇ…あのキドさんが…』


電話越しにちょっと笑ってるようなシンタローの声が聞こえる。

それだけでなんだか安心するのは…きっと気のせいじゃない。


眠れない夜は
シンタローに電話しちゃおう

(…もしかしてさ、フミも怖かったから寝れないんじゃ…)
(はぁ!?ち、違うにきまってんじゃん!)
(お前…いや、その…なんていうか…)
(…なに、なんか文句ある?)
(違いますよ!ご主人はフミさんの事かわ)
(わー!?おま、黙れエネ!!)
(ちょ、シンタロー煩い!エネちゃんが何言ったか聞こえなかったじゃん)
(聞かなくていい!)




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