「なあ名前さんは本当はどこから来たんだ」


私の日課、私の楽しみな時間、寝る前にお気に入りの場所で本読む。その至福の時間中に珍しい客人が来た。珍しいねローくん。こんな時間まで起きてるの。ソファーで眠っているコラさんに毛布をかけながら言うとローはコラさんを睨むように見る。

「コラさん眠ってるから起こしちゃ駄目よ?」
「ほんとにコイツねてるの」
「ねてるねてる」

なんたって今日のコラさんはサングラスを着けていないので目を瞑ってるのが分かるし寝息が聞こえる。苦笑いしながら自分の定位置に戻ればローは隣に座り、少し私に近寄りこちらを見上げて口を開く。

「ほんとはワノ国の人間だろ」
「ぶっぶー」
「えー」
「もー何度も言ってるでしょ?違う世界から来たって。」
「おれがガキだからってバカにしてんだろ」

チッと舌打ちをして目線を逸らすローに顔が引き攣る。確実に海賊の英才教育が行き届いてる…、来たばかりの頃は一つ一つの行動に上品さが滲み出ていたのに…。恐るべしドフラミンゴファミリーの教育力…。なんて考えていると私の袖を引っ張る

「ナイショにするから俺だけに教えてくれよ」
「えー、教えたじゃん」
「ほんとに異世界から来たのかよ」

確かに名前さんから聞いた今までの異世界の話はなんか凄いし、面白いと思ったけど、そんなの有り得ないし信じられねー。ブスッと正直に言ってくれるローに苦笑いをこぼす。

「そうだよね、普通、信じられないよね」
「家族は?もしかして捨てられたのか?」
「グイグイくるねー」

何故こんなにも私に興味津々なのかは謎だ。ローの頭を撫でながら、
ん〜と考える素振りをする。こんな子供に本音を言うべきなのか言わないべきなのか…。困った顔でローの頭を撫で続けていると思わず本音を言ってしまうようなピンポイントな質問をしてきた。




「さみしくないの」




ローの頭を撫でる手がピタリと止まる。手だけではなく体の全てが止まった。その時だけ私の時間がゆっくりになった。ローはしっかり私の目を見つめる。決して視線を外さない。私の頭の中は家族や友達、楽しい記憶、が ふつふつと思いだされていた。辛いだけだから元の世界の事はなるべく考えないようにしていたのに、やってくれたな、このクソガキ、





「すっごく、さみしいよ」




きっと今の私、上手く笑えていない。








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -