ふーあーゆー?

意味がわからない全く持ってわからない。
私はお風呂に入ろうとしただけなのになんですか、どうして扉を開けたら目の前には浴槽じゃなくてガタイのいい青年がいるんですか。そしてどうして扉なくて海の上なの!と言うか私バスタオル一枚なんですけど、貞操の危機なんじゃなかろうか。


「なァ」
「ヒィッ?!すみませんごめんなさい襲わないで下さい初めては好きな人って決め…あれ?」
「風邪引くぞ」


バサリと上着をかけられてまさにキョトン。
なにこの人紳士?今時麦わら帽子なんて被っちゃってる顔が少し赤いのは照れてるの?実はいい人なの?というかここ何処ですか。


「あ、あの…!ここどこですか…」
「おれの船だ」
「ふ…ね…、あ…お邪魔しました…」
「お前どっから来たんだ?」


何もねー所から現れてのーりょくしゃか?なんて。
ごめんなさいわかりやすくお願いします。
とにかく私はお風呂に入りたかっただけなのに、何故ここにいるかわからないと説明すれば。


「んー、まぁ気にすんな」
「ええー…」
「ココはそんな海だからな、何があってもおかしくねーよ」


そんなってどんなですか。
とりあえず私帰りたい、今夜は毎週見ているドラマの最終回だからどうにか岸に付けて貰えないかと言う私の渾身のお願いは、目の前の青年の人好きする満面の笑顔によって却下される羽目と相成りました。


「よし決めた!お前おれの二人目の仲間な!」
「は?いやちょっ、なに?!」
「面白そうだしな、お前。おいレイリー!」
「…騒々しいな、一体どうした」


破天荒な事を言い出してそれに面喰らっていれば誰かに声をかければ物陰から別の男性が現れた。
変わった顎髭だけどイケメンだーなどと呑気な事を考えていたら髭を指先で弄りながら私を眺めている。


「…このお嬢さんは?」
「拾った」
「「犬猫じゃあるまいし……」」


私はこれでも人間なんですけどねーの意を込めてぼやいて見せれば、物の見事にイケメンとセリフが被り、それが何だか可笑しくてこんな時だと言うのに笑ってしまった。


「なァ、こいつ仲間にする!」
「そ、そんな勝手に…!」
「ふむ、見た所ワケありの様だ」


ここにいた方が安全だと思うのだが?と目線を海面へとやるモンだからそれに釣られて目線を移して絶句した。だって見た事もないような生物がうようよなんだもの。


「お…世話に、なります」
「おう!ところで名前なんつーんだ?」
「***です」
「また名前も聞かずに勧誘したのか…」
「まぁまぁ、いいじゃねェか!」
「仕方ないな。***、今日から君も海賊だ」


え、かいぞく?何それ聞いてない。でも勘だけどこの人についていけば間違いないような気がしてきた。
そして次の瞬間『今日からお前もロジャー海賊団の一員だ!』と高らかに笑う青年の言葉でその名前を知った。
お互い名前も知らなかったのに勧誘して、されて、更にはそれを受けてしまうなんて呑気過ぎるな私達。

彼の笑顔に心奪われたのは
悔しいからまだ言わない。
恐るべき、海賊め!







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