お転婆娘、艶姿



「ねぇエースやめたら?」
「どうして!うちだってお袋の誇り入れたいの!」
「だからって背中一面に…!」


あんた女の子なんだよ?!
そう宥めるように告げるのだけど、すっかり興奮しきったエースはイヤイヤと首を振り、挙げ句の果てにはそばかすの散らばった桃の様な頬を膨らましてまるで駄々っ子だ。

末の妹であるエースは可愛いけれど
言い出したら聞かないのが珠にキズ。


「だって…!マル姉だって…!」
「あたしがどうかしたかい?」
「マル子!」


噂をすればなんとやら。
ひょっこり顔を出した我が白ひげ海賊団の長女。
彼女の胸にはお袋の誇りがしっかりと刻まれている。


「エースがね、背中にお袋の誇りを入れたいんだって」
「マル姉だって入れてるんだからいいでしょ?!」
「マル子はおばさんだからいい…ったあああ」
「誰がおばさんよい」


見よ、このぴちぴちばでー!と胸を張るマル子。
まぁ確かに?
マル子はおばさんだけどスタイル抜群だ。
無駄に美脚だし。ムカつく。


「そうじゃなくて、エースを止めてよ!」
「***何だって止めるのよい」
「だって…」


エースの肌が綺麗だからってのもある。
だけど、それ以上に理由がある。


「あたいが当ててやろうか?」
「サッちゃん!やめてよっ」
「この子はね、お袋の誇りが服で隠れるのが嫌なんだよ」
「…っ、」


マザコンだからねー、なんて
ニヤニヤしながら脇腹を小突いてくるサッちゃんの鳩尾に拳を叩き付けて、慌てて弁解しようにも言葉が出てこない。


「あぁ、あたしはシャツをはだけてるからねい…」


そう、マル子は水着の上にシャツを羽織っていて
胸元全開にしているからお袋の誇りは丸見えだ。
だから何ら問題はない。



「なんだ、じゃあうち裸で……痛ッ」
「バカかアンタは!この露出狂…!」


男ならまだしも、いくら海賊とはいえ
花も恥じらう乙女が半裸でいいわけないでしょうが!
と、エースの頭に拳骨を落として肩で息をする。


「おやおやそう興奮しなさんな」
「イゾウ姐さん!だってエースが!」
「あちきに考えがありんす」



ふっ、と背後から現れたのは
紅色と紫色が混じりあった
それはそれは艶やかな着物を羽織ったイゾウ姐さんだった。
綺麗な纏め髪から出る後れ毛を直しながら
紫煙を燻らせる彼女の何とも色っぽい事か。
これで同じ女だと言うのだから口惜しい。

意味ありげに
形のいい唇を吊り上げた姐さんは
エースの部屋から橙色の水着を持ってきて
チクリチクリと縫い始めた。



「…如何でござんしょう」
「わ、」
「これなら、はは様の誇りも見えるだろう?」


そう言って、クスリと笑った姐さんは
本当にもう、惚れ惚れするくらい妖艶で。
その姐さんから差し出されたモノは
いつものエース愛用のビキニなんだけれど、
背中の紐が透明の物と交換されていた。


「イ、イゾウ姐さん!ありがとーーー!」


嬉々としてそれを受け取ったエースは
足早に船医室へと駆け出した。
それを見て私達はほっこりした気持ちで微笑むのだった。



────

「グララララ!エースが泣き笑いで部屋に来たよ」
「お袋!」
「あたしの誇りをいれたのは嬉しいが、彫物があまりにもいたすぎたらしいねぇ」


全く。
うちの妹は
どうしてこんなに可愛いんだ!




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