※百合注意。時々不安になる、アナタはとても曖昧な存在だから。
一人の人間として受け入れているつもりだけどやはり今みたいな関係だと余計なことかもしれないが、そんなことを考えてしまう。
「ねえ、イナズマ、私のこと、好きですか?」
「………………好きだ。」
驚いたような照れたような少し困っているようにも見える顔で、たっぷりと間を置いて彼は"好き"だと答えてくれた。
それなのに私はさらに彼を困った顔にさせてしまうようなことを口から垂れ流していた。
「それは、愛してる、ってこと?」
「…………………………………そのつもりだが。」
彼はいつも私の前では彼でいてくれる、しかし彼でない時もあるということも承知で私はイナズマを愛している。
"彼"も"彼女"もイナズマという人間として尊敬しているし愛している。
しかし彼が彼女になった時もイナズマは同じように愛していると言ってくれるだろうか、女でしかない私を。
「……今とは違う方のイナズマも、そう言ってくれるのかな。」
それだけぼそりと言って私は逃げるようにベッドにもぐった。
もぞもぞと彼も入ってきたかと思うと、さっきの言葉を気にしたのかいつもより私を抱きしめてくれる彼の腕に力が籠っている気がした。
いつの間にか眠ってしまい意識が戻った時、彼は隣にいなかった。
代わりに彼女のすらりとした腕が私を抱きしめていた。
「おはよう名前。よく眠れたかしら?」
「…え、は、はい……。」
2人の時に、彼女に会うのは初めてだった。
「名前は、私のこと、愛してる?」
「…………………あ、いしてます…。」
寝起きだったせいか、初めて彼女と2人きりになったせいか、すぐに頭が回らず答えるまでに時間がかかった上に上手く言葉が喉から出てこなかった。
「そう、よかったわ…」
彼女は長く細い指でそっと私の頬に触れると安堵したようにやわらかく微笑んだ。
彼の時ではなかなか見られない瞳も今は直に見つめていることができる、彼の時にサングラス越しに見た瞳とまったく変わらない彼女の瞳にとても安心してさっきまで感じていた胸の苦しさが消えていくのを感じた。
「………名前が私も愛してくれていて。」
…ああ、彼も、彼女も私と同じように不安を抱えていた。
子どもじみたことをしてしまった自分が恥ずかしい。
「……さっきはごめんなさい」
そう言い終わる前に彼女の唇で口が塞がれてしまった、彼の時とは少し違いやわらかく艶やかではあったがその唇の優しさはイナズマそのものだった。
「不安にさせちゃうなんて、私の愛し方が足りなかったのかしら?」
そんなことない、と首を横に振り、次は私が彼女にキスをした。
イナズマという1人の人間だから、彼も彼女も愛してる。
イナズマという1人の人間だから、彼も彼女も私を愛してる。
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イナズマさんへの愛が爆発した結果がこれですよ。