「やだ」

「わがままを言うな」

「やだ」


気に入らないことがあると

「やだ」

の一点張り、強情でわがままで何度しかっても治らない乱暴な小さく幼い野獣に頭を抱えながらも世話を引き受け育ててきた。
成長するにつれわがままも少しはましになるだろう、と高を括っていたが私の教育と期待に反しその横暴っぷりは収まることを知らなかった。
見た目は美しい年頃の少女となったが、実は幼いままの野獣が美しい少女の皮を被っているだけなのでは、と思いたくなるほどだ。


「…子どもじゃないんだ、いい加減好き嫌いを治せ」

「やだ」


成長すれば体も大きくなり力もつく、力で負ける気はしないがこんな少女にむきになるのも大人げないと思いなるべくこちらが言葉で説き伏せようとするが、年頃にもなれば悪知恵もつくものでこちらが手を上げないのを名前はよくわっかていて幼かったころのそれとは比べ物にならない程の力で私の胸を叩きながらだだをこねる。
といっても所詮は少女の力、私にとってはいつの間にこんなに大きくなったのかと感傷にひたる程度のものでしかないがその乱暴さは相変わらずである。


「なら好きにしろ」


私が厳しくそう言うと泣きだすのも相変わらず、慣れたと思っていたこの展開だが最近問題が起きた。

名前の泣く様がいたく美しい。

幼い頃に慣れたはずの泣き顔がそこにはなく、私は対応に困り果て最終的には何故か慌てながら謝っているのだ、そして泣きやんで私の方を向いた顔がしてやったりという顔をしているように見えてならない、野獣は成長すると悪魔にでもなるのだろうか。

しかし、そんな小さな悪魔との生活もまんざらでもないと思っている自分を私は今日も嘲笑する。





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うはあ、意味不明。






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