白い夜明け、目を覚ますとベッドには自分1人だけで、もうこんな寂しい目覚めにも慣れてしまった自分が憎らしい。
きっと机の上には置き手紙がある、いつもと同じ、愛しています、と綺麗に書かれたその冷たい文字の横には真っ赤なキスマーク、いつもあたしが目覚める前に彼は行ってしまう。
彼が他にも女を作っているとか、都合のいい女にされてるとか、そんなことは思ったことはないけれど、いつも彼が現れるのは夜の間だけで明るい太陽のもとには現れてくれないことがとても寂しかった。
『…ねえ、ラフィット、どうして夜しか会ってくれないの』
『貴女に会うのに、昼間は明るすぎます』
夜のように深い彼の瞳を思い出すだけで胸が苦しくなる。
夜の黒は彼にとてもよく似合っていて真っ暗な部屋によく溶け込んでいた、その中で浮かび上がる白い肌と赤い唇が綺麗でよく見とれていた。
『夜が貴女を包んでいる間しか私は貴女に触れられません』
そんなことを思い出しながら再び眠りについてしまった名前の部屋に、カツン、カツンと礼儀正しい足音が響いた。
ラフィットは机に忘れたハンカチをとるとベッドで眠る名前の頬にあった一筋の涙の跡に手を伸ばしたが決して触れることはなかった。
「私のような汚らわしい者が貴女のように無垢で美しい方に触れるなど…貴女を汚してしまいそうで恐ろしい。せめて夜の闇に紛れて貴女を包むことだけで精一杯なのです…貴女を悲しませたいわけではないのに…私は太陽の中の貴女の眩しさが私で霞んでしまうのが恐ろしくて仕方がない…。愛しています、名前… 」
それだけ呟くと机の置き手紙にキスマークをもう1つ残して朝日が侵食してきた彼女の部屋を逃げるように後にした。
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彼女をもはや神のように崇拝するほど溺愛するラフィットさん。
粗末な文で申し訳ない。