「何でそんなことするの?かわいそうじゃないですか」
何も見えない空に銃口を向けるオーガーは、きっとまた意味もなく遠くを飛んでいるカモメを撃ち落としていたのだろう。
もう何度か目にしたことのある光景だったがそれを見る度カモメがかわいそうで少し苦しくなる名前は、今にも引き金を引こうとしている彼の後ろから問いかけた。
「意味などないのである」
「でも、かわいそうですよ」
―ドンッ
名前が言い終わると同時に引き金が引かれ、銃声が遠くの空に消えていった。
「これも巡り会わせなのである」
「オーガーさんが勝手に撃ってるんじゃないですか、巡り会わせでもなんでもないですよ」
「我輩はそういう人間である。そんな我輩に見つかった、それが巡り会わせなのである」
すると、空に向いていた銃口は名前に向けられた。
発砲されたばかりで火薬臭い銃口の向こうでオーガーは無表情でこちらに定めるまでもない狙いを定めて、一瞬口元が上がったかと思うと彼は引き金を引いた、その人差し指は恐ろしくゆっくり見えた。
―ドンッ
撃たれた、そう思ったが痛みはなく銃弾は名前の耳をかすめた。
しかし腰の抜けてしまった名前はその場にへなへなと座り込んでしまい、オーガーは相変わらず口元だけ上げて笑っていて、何するんですか、と力なく抗議をしたが満足気にふっと鼻で笑われたせいで名前の表情は一層険しくなった。
オーガーはそんな名前を気にせず彼女の近くまで来ると名前の後ろを指差した。
「後ろを見てみろ」
言われるまま名前が後ろを振り返るとそこには、やけにくちばしの鋭い一羽の鳥が銃弾の餌食になって落ちていた。
「かわいそうか?我輩が撃たなければ貴様がそいつに刺されていたが」
何も言えない名前を見てオーガーはまた満足気に笑うと手を差し伸べてきた、立て、と言われたが足にうまく力が入らず立ち上がれない名前を彼は片手で持ち上げるとそのまま肩に担いで歩きだした。
「ちょっと…どこいくんですか」
「たしか向こうに適当な空家があった。命を救ってやったのだ、礼はたっぷりしてもらうのである」
肩越しに彼が笑った気がした。
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オーガーさん…じゃない…
あわわわわ、どうしてもオーガーさんの話が書きたくなったんです、ごめんなさいすいません。
一人称、我輩でいいだろうか、言葉遣い大丈夫だろうか、いろいろ捏造かも、すいません。